眠っているあいだ、目も、からだも休んでいるのに、どうして小さな物音で目が覚めるんだろう。
時計の音、外を走る車、となりの部屋の気配。目が覚めるたびに「また眠りが浅かった」と自分を責めたくなる夜もあるよね。
でも、眠っている脳が外の音をまったく受け取らなくなるわけではありません。眠りの中でも、音に対する脳の反応の一部は残ることが研究で確かめられています。
音は届いていても、受け止め方が変わる
2022年に発表された人の脳内記録の研究では、音や言葉、音楽を聞いたときの聴覚に関わる神経反応が、ノンレム睡眠とレム睡眠のどちらでも広く残っていました。一方で、意識的な理解につながると考えられる高次のフィードバック処理は、眠っているときに弱まっていました。
つまり、眠っているあいだも音の入口が完全に閉じるわけではないけれど、起きているときと同じように意味を理解しているわけでもない、ということです。
「耳だけが起きている」という言い方は、その様子をやさしく表したたとえ。耳そのものが眠らず見張っていると断定するものではありません。
物音で起きることは、失敗とは限らない
睡眠中は、外からの刺激に対する反応が全体として下がります。それでも、大きな音や気になる音で目が覚めることはあります。
どの音に反応しやすいか、どれくらいで目が覚めるかには個人差があります。音の大きさだけでなく、その日の疲れ、睡眠の段階、環境や音への敏感さなども関係します。
一度物音で起きたからといって、その夜の眠りが全部だめになったとは限りません。「からだが外の気配を受け取ったんだな」と、少しだけやさしく捉えてみてね。
音が気になる夜にできる小さな調整
無理に「音を気にしないようにしよう」と力を入れなくても大丈夫です。
- 突発的な音が入りにくいよう、窓や扉を静かに閉める
- 時計や通知音など、動かせる音源だけ寝床から離す
- 必要なら、危険がない範囲で小さく一定した環境音を使う
環境音やホワイトノイズなどが睡眠へ与える影響については、研究結果が一様ではありません。合わないと感じたら止め、心地よさを優先してください。
ねむから、今夜のひとこと
物音で目が覚めても、あなたが眠るのに失敗したわけじゃないよ。
耳が夜の気配を受け取ったら、安心して、またそっと目を閉じて。
すぐに眠れなくても大丈夫。ここで、いっしょに夜を過ごそうね。
動画で見る
参考資料
- Hayat H, et al. Reduced neural feedback signaling despite robust neuron and gamma auditory responses during human sleep. Nature Neuroscience. 2022.
- Capezuti E, et al. Systematic review: auditory stimulation and sleep. Journal of Clinical Sleep Medicine. 2022.
※この記事は、睡眠に関する一般的な情報とセルフケアの考え方を紹介するものです。医療上の診断・治療や効果を保証するものではありません。眠れない状態が続く、日中の生活につらさがある、音への強い不安や体調の変化がある場合は、無理をせず医療機関などの専門家へご相談ください。


