眠りの科学

梅雨に眠れないのは、湿気のせいかも|カギは“体と脳の温度”

今夜のポイント

梅雨に眠りにくいのは、あなたのせいじゃなくて、湿気のせいかもしれない。眠るときは、体の奥の温度(深部体温)が下がる必要があるのに、ジメジメした夜は、その温度が下がりにくいんだ。今夜は、体と”脳”をうまく冷ますことを、いっしょに考えてみよう。

雨が続く季節。なんだか体が重くて、夜もうまく眠れない ── そんなふうに感じていないかな。

梅雨どきに「よく眠れない」「寝てもすっきりしない」と感じる人は、とても多いんだ。じめじめした空気、続く曇り空、気圧の変化。いろんな理由があるけれど、今夜は特に「温度」と「湿気」の話を、いっしょに見てみよう。これが分かると、今夜できることが、すこし見えてくるから。

眠るとき、体と“脳”の温度は下がっている

まず、知っておいてほしい仕組みがあるんだ。わたしたちは、眠りに向かうとき、体の奥の温度 ── 「深部体温」と呼ばれる、内臓や脳のあたりの温度 ── が、すこしずつ下がっていく。この温度が下がることが、「そろそろ眠る時間だよ」という、体からの合図になるんだ。

眠くなると、手足がぽかぽか温かくなった経験はないかな。あれは、手足から熱を外に逃がして、体の奥の温度を下げているサイン。体は、奥の熱を外に逃がすことで、眠りの準備をしているんだよ。脳も同じで、クールダウンすることで、ぐっすりと休めるようになる。

梅雨に眠れないのは、湿気のせいかも

ここで、梅雨の話につながるんだ。体の奥の熱を外に逃がす方法のひとつが、「汗をかいて、その汗が蒸発するときに熱を奪ってもらう」こと。打ち水をすると涼しくなるのと、同じ仕組みだね。

ところが ── 湿度が高いと、汗がうまく蒸発してくれない。空気がすでに水分でいっぱいだから、汗がなかなか乾かないんだ。すると、体は熱を逃がしたいのに逃がせなくて、深部体温も、脳の温度も、なかなか下がらない。結果として、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりしてしまう。

こんな研究がある

睡眠の研究でも、室温が許容範囲内でも、湿度が高すぎると深い睡眠が減り、睡眠の質が低下することが報告されているよ。湿度が高いと発汗による熱の放散がうまくいかず、スムーズに寝つきにくくなると考えられているんだ。さらに、高い湿度はカビやダニの増殖を促して、アレルギーを通じて眠りを妨げることもあるとされている。だから、梅雨の寝室では「温度」だけでなく「湿度」も大事なんだ。

出典:睡眠と寝室環境に関する解説(国立精神・神経医療研究センター ほか)

つまり、梅雨に眠れないのは、あなたの心がけの問題じゃなくて、「体と脳の熱が、うまく逃げられない」という、れっきとした理由があるんだ。だとしたら、やることはシンプル。体と脳を、うまく冷ましてあげればいい。

“湯船で必ず温まる”は、古い?

「ぐっすり眠るには、寝る前に湯船でしっかり温まるといい」── そう聞いたことがある人は、多いと思う。これは、半分は正しいんだ。

さっき話したように、深部体温は「いったん上がると、そのあと下がろうとする」性質がある。だから、研究では、就寝の90分ほど前にお風呂で体を温めておくと、ちょうど眠るころに深部体温が下がってきて、寝つきやすくなる、と言われている。これは王道のやり方で、今でもちゃんと有効だよ。

でもね、ここに「新しい考え方」も出てきているんだ。人によっては、寝る前に温めると、かえって頭が冴えてしまうことがある。とくに、お風呂から上がってすぐ布団に入る人や、温めると目が覚めてしまうタイプの人。そういう場合は、無理に湯船で温めなくてもいい、という考え方だよ。

こんな研究がある

睡眠研究の専門家も、「寝る直前にお風呂に入ると、逆に眠れなくなってしまう場合がある。そういうときは、ぬるめのお湯にするか、シャワーで済ませるのがいい」と話しているよ。もちろん、しっかり湯船に浸かったときよりは深部体温が下がる効果は控えめになるけれど、寝る直前にしか時間がない人や、温めると冴えてしまう人には、シャワーという選択肢も十分にあり、ということなんだ。

出典:西野精治『スタンフォード式 最高の睡眠』ほか睡眠専門家の解説

大事なのは、「湯船が絶対の正解」と思いこまないこと。じっくり浸かるのが合う人もいれば、シャワーのほうが合う人もいる。あなたの体が、どっちで心地よく眠れるか ── それがいちばんの答えだよ。下の表を、選ぶときの目安にしてみてね。

 じっくり湯船(就寝90分前)シャワー or ぬるめ(寝る前でも)
深部体温を下げる効果大きい(しっかり上げて、下げる)控えめ(でも、ゼロではない)
向いていそうな人就寝まで時間がある/冷えが気になる人寝る直前しか時間がない/温めると目が冴える人
梅雨どきのコツ上がったら湯気のこもらない部屋で、ほてりを冷ますぬるめのお湯で、汗を流してさっぱり。湿気でべたつく肌をリセット

今夜、すぐできること

むずかしく考えなくて大丈夫。今夜からできる、小さなことをいくつか並べておくね。気が向いたものを、ひとつ試すくらいで、ちょうどいいよ。

① 寝室の湿度を下げる。これがいちばん効くかもしれない。エアコンの除湿(ドライ)機能や、除湿器を使って、寝室の湿度を50〜60%くらいに。湿度計があれば、目で確認できて安心だよ。

② 温度も、こもらせない。暑い夜は、エアコンをがまんせずに使ってね。体や脳の熱を逃がすには、部屋がこもっていないことが大事。風が直接体に当たらないように向きを調整すると、もっと心地いい。

③ お風呂は、自分に合うやり方で。時間があるなら就寝90分前にぬるめの湯船。時間がない夜や、温めると冴える人は、シャワーでさっぱり。梅雨はべたつきが寝苦しさにつながるから、汗を流すだけでも、ぐっと楽になることがあるよ。

そっと、ひとつだけ

体の感じ方や、合う温度・湿度には、個人差があります。ここで紹介したのは、あくまでひとつの目安だよ。それでも、梅雨どきの不調が長く続いたり、眠れないつらさが大きいときは、一人で抱えこまずに、お医者さんや専門家に相談してね。最近は、睡眠の悩みを専門に診てくれる外来もあるんだ。相談することは、自分を大切にすることだから。

今夜は、ジメジメに負けないで。といっても、頑張らなくていいよ。湿気をすこし払って、体と脳の熱を、そっと逃がしてあげる。あとは、雨の音や、静かな音楽といっしょに、目を閉じるだけ。眠れたら、よし。眠れなくても、休めたなら、それでじゅうぶんだから。

もし「今夜の自分には、どんな音が合うんだろう」と思ったら、よかったら気分診断をのぞいてみて。雨の夜にやさしい音を、いっしょに探すよ。

おやすみ。よい夜になりますように。

ねむ / 快眠LABO

この記事は夜のセルフケア情報として公開しています。音や眠りの感じ方には個人差があります。眠れない状態が続く場合は、医師や専門家へご相談ください。