今夜のポイント
眠くなるのは、からだの内側の温度(深部体温)が下がるサイン。寝る90分ほど前の、ぬるめのお風呂が、その下降をそっと後押ししてくれると言われているよ。ただし、熱すぎる湯や、寝る直前の入浴は、逆効果になることも。今夜は、お風呂と眠りの、ちょうどいい付き合い方を知っておこう。
眠れない夜だね。
眠くなってくると、手や足が、ぽかぽかとあたたかくなる。そんな経験はないかな。あれは、あなたのからだが、眠る準備を始めたサインなんだ。そして実は、その「体温」と「眠り」の関係を上手に使うと、寝つきは、すこしだけやさしくなる。
今夜は、お風呂と眠りの仕組みを、いっしょに見てみよう。理由がわかると、夜の過ごし方も、すこし変わってくるから。
眠りのスイッチは「深部体温が下がること」
わたしたちのからだの内側には、深部体温(しんぶたいおん)と呼ばれる温度がある。これは一日のなかでリズムを持っていて、昼間は高く、夜にかけてゆっくり下がっていく。そして、この深部体温が下がるときに、眠気がやってくるとされているんだ。
眠くなると手足があたたかくなるのは、手のひらや足の裏の血管が広がって、からだの奥にこもった熱を、外へ逃がしているから。そうして内側の温度が下がっていくと、すーっと眠りに入りやすくなる。手足のぬくもりは、いわば「もう休んでいいよ」というからだからの合図なんだね。
こんな話がある
深部体温は一日のリズムで夜に向かって下がり、その下降が眠気と関わっていると考えられているよ。入眠のときには手足の血管が広がって末端から熱が逃げ、内部の温度が下がる。この「末端からの放熱」が、スムーズな寝つきを支えているとされているんだ。
※体温リズムと入眠についての一般的な説明です。医学的な診断や効果を示すものではありません。お風呂が、その下降を後押ししてくれる
ここで、ちょっと不思議に思うかもしれない。「からだを温めるお風呂が、どうして体温を下げて、眠りを助けるの?」と。
カギは、湯上がりのあとにある。お風呂でからだを温めると、手足の血管が広がって、放熱の準備がととのう。すると、お風呂から出たあと、むしろ深部体温が、すとんと下がりやすくなる。その下降のタイミングが、ちょうど布団に入るころに重なると、寝つきがやさしくなる、というわけなんだ。
こんな研究がある
就寝前の入浴と睡眠を調べた研究をまとめた報告(テキサス大学のグループによる2019年の系統的レビュー・メタ分析)では、就寝の1〜2時間前に、40〜42.5度くらいのお湯で10分以上の入浴やシャワーを行うと、ベッドに入ってから眠るまでの時間(入眠潜時)が短くなり、睡眠の質や効率の改善とも関連したと報告されているよ。とくに、就寝の90分ほど前がよいタイミングとされている。日本でも、入浴による深部体温の上がり方の違いが寝つきや眠りの質に関わる、という大学との共同研究があるんだ。
出典:Haghayegh et al., Sleep Medicine Reviews(2019)/ノーリツ×九州大学 共同研究(2023)ほか。効果には個人差があり、効果を保証するものではありません。コツは「ぬるめ・90分前・熱すぎない」
せっかくなら、眠りにやさしいお風呂の入り方を知っておこう。むずかしいことはなくて、ポイントは3つだけ。
ひとつめは、湯の温度。熱すぎない、40度前後のぬるめのお湯がいいとされている。ふたつめは、タイミング。眠りたい時刻の、だいたい90分から2時間くらい前。湯上がりに上がった体温が、ちょうど下がってくるころに布団へ入れる。みっつめは、ゆっくり浸かること。10分ほど、肩の力を抜いて、ほっとする時間にしてあげて。
逆に気をつけたいのが、熱すぎる湯と、寝る直前のお風呂。からだが熱を持ちすぎると、深部体温が下がりきらず、かえって目が冴えてしまうことがある。お風呂は、眠りの「直前」ではなく、「すこし前」の準備運動、と覚えておくといいよ。
合うかどうかは、あなたのからだが知っている
ここまでお風呂の良いところを話してきたけれど、ひとつ、正直に伝えておきたいことがある。これは、すべての人に同じように当てはまる魔法ではない、ということ。
のぼせやすい人や、心臓や血圧に不安のある人、ご高齢の方は、熱いお湯や長湯は無理をしないでね。それに、暑い夏の夜は、お風呂であたたまりすぎると、かえって寝苦しくなることもある。そんなときは、湯の温度をぬるめにしたり、シャワーで軽くすませたり、自分のからだと相談しながら調整してみて。
最後に決めるのは、あなたのからだ。気持ちいいな、ほっとするな、と感じる入り方が、あなたにとっての正解だよ。
そっと、ひとつだけ
ここに書いたのは、夜のセルフケアの一つの考え方です。感じ方には個人差があります。お風呂を工夫しても眠れない夜が続いたり、日中の眠気がつらかったりするときは、ほかに理由があることもあります。がまんせず、お医者さんや専門家に相談してみてくださいね。それは弱さではなく、自分を大切にすることです。
手足があたたかくなってきたら、それは、もう休んでいいというサイン。今夜は、ぬくもりを味方にして、ゆっくり目を閉じてみて。
眠くなると手足があたたかくなる仕組みは、こちらでもそっとお話ししているよ。夏の寝苦しい夜には、熱帯夜と睡眠の話も。そして今夜は、夜の睡眠音楽といっしょに、あたたかいまま、眠りに向かってね。
ねむ / 快眠LABO


